symptom
鼻の病気

鼻閉(鼻づまり)による口呼吸、特に隠れ鼻づまりによるパフォーマンス低下について

朝、起きた時にのどが乾いていませんか?

隠れ鼻づまりは、夜間睡眠時に鼻閉症状が最も悪化し、日中は症状がなくご本人も気づいていない状態を指します。しかし、睡眠時の鼻閉による口呼吸は、十分に加温加湿されていない空気を吸うことになります。口から肺までの粘膜が乾燥したり、睡眠の質にも悪影響を及ぼします。睡眠の質の低下は、日中の集中力やパフォーマンスの低下に繋がります。成長期のお子さんでは、顎(中顔面)や身長などの成長障害や学業不振なども指摘されています。(鼻の機能参照)。

・朝起きた時にのどが乾いている

・よく風邪をひく

・口臭が強い

・無呼吸はないがなんとなく日中だるい

・いびきがある

・集中力がない

一つでも心当たりがある方は隠れ鼻づまりかもしれません。

ご相談ください。

鼻呼吸の重要性

脊椎動物のなかで人間だけが唯一、口呼吸もできるようになったといわれています。これは、進化の過程でヒトは水際生活となり、潜るための息こらえを覚えたことで発声機能も獲得したためです(アクア説)。発声によるコミュニケーション機能を持ったことと引き換えに鼻呼吸が疎かとなり弊害も生じています。

鼻の機能

1:温湿度調整

鼻汁は1日1L分泌され、そのうち700mlは加湿に使われています。日本の真冬のような冷たく乾燥した空気を吸っても、温度34℃湿度90%程度にして肺に送られます。これは鼻内の鼻甲介にある血管網(海綿静脈叢)が、温度刺激などで反射的に反応し空気に水分や熱を与えます。空気を鼻からはく時も鼻甲介で空気中の水分が吸収され(再回収)次の呼吸に備えます。

2:空気清浄

鼻はよくできた空気清浄機です。6μmまでの粒子の8割は鼻粘膜で除去されます(1mm=1000μm)。粒子の大きさは、スギ花粉(30μm)、PM2.5(2.5μm以下)、細菌(1μm程度)、ウイルス(0.3μm未満程度)です。口呼吸により主に1-3μmの粒子が肺に到達沈着しやすくなります。

口呼吸により温湿度調整機能、空気清浄機能が障害され、のど・肺は乾燥や感染しやすい状態になります。

3:嗅覚

ヒトの嗅覚遺伝子1000個以上のうち3割は使われていません。それは視覚に切り替えられたからと言われています(視覚遺伝子は3個)。視覚に追いやられた嗅覚ですが、においで当時を鮮明に思い出す反応(プルースト効果)や、認知症との関連などまだまだ解明が必要な機能です。嗅神経細胞は鼻腔の天蓋粘膜にあります。

4:共鳴

鼻づまりや副鼻腔炎の際の鼻声は、共鳴機能が障害されるために起きます。

5:気道抵抗

病的な鼻づまりは改善が必要ですが、必要な鼻づまりもあります。鼻入り口から肺までの全気道抵抗の約6割は鼻腔抵抗です。この抵抗があるために大きく深い呼吸ができます。鼻腔抵抗が低すぎると浅く早い呼吸になり効率が落ちます(エンプティノーズ参照)。副鼻腔で産生される一酸化窒素も肺のガス交換を良くする働きがあります。口呼吸は気道抵抗が低くなり、肺へ届く一酸化窒息も少なくなり効率の悪い呼吸となっています。

6:脳温調整

鼻腔天蓋は脳の底である頭蓋底です。鼻腔天蓋に空気が通り気化熱で頭蓋底が冷やされ(空冷)、また鼻腔近くにある眼の静脈の一部が頭蓋内に入り冷やされ(水冷)ることにより脳温調整されます。病的な鼻づまりは脳温調整機能が障害され、運動パフォーマンスや集中力の低下に繋がります。

7:その他

通り過ぎる鼻は良くない。エンプティノーズ(empty nose syndrome)について

見た目の鼻内の空間は広いにもかかわらず、強い鼻閉感、空気が通る感覚がわからない、乾燥感、呼吸障害、うつ症状、などが出現した状態です。原因の多くは下鼻甲介手術です。欧米を中心に流体力学と神経反射をターゲットに研究が進められています。当院では、病的な鼻づまり、必要な鼻づまりをよく見極めた上で、可能な限り下鼻甲介を温存した鼻閉改善手術を行っています。また、エンプティノーズの方にはコットンテストなどを行い、改善が見込まれる場合は機能回復手術も行います。